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旭水荘新人教育プロジェクト

はじめに

北海道で開催された平成30年度全国老人福祉施設研究会議の結果、当施設が発表した「新人教育プロジェクト ~新人の働きやすい職場を目指して~」が奨励賞を受賞しました。
この発表について他施設の方からお問いを合わせ頂きましたので、簡単ではありますが、当施設が行っている新人教育プログラムについてご紹介したいと思います。
 
介護業界で課題の一つとなっている人材確保。
多くの施設が、職員の負担の軽減や介護ケアの質の向上のために、色々な求人方法を試行錯誤しながら人材を呼び込んでいます。やっとの思いで職員を確保できてもそこで終わりではありません。これから入職してくる新人職員を大切に、そして長く勤めてもらうにはどのような新人教育を行えばいいのか、そんな思いから新人教育プログラムを作成することにしました。
当施設での新人教育の課題を考えていくと
  ①指導内容に統一性がない
  ②進捗状況が共有できていない
  ③指導期間が明確になっていない
  ④相談しづらい環境
の4つが挙がりました。
新人教育プログラムを作ることで、しっかりとした指導が行え、独り立ちした時に自信を持って仕事をしてもらえたらと思います。

新人教育プログラムの概要

当施設での新人教育期間は未経験者で6ヶ月間です。実務経験があり、基本技術を教える必要がない人でも4ヶ月間行います。
施設によっては新人教育期間が1ヶ月間や3ヶ月間のところもあるようですが、当施設ではじっくりと基本技術を習得し、自信を持って仕事をしてもらいたいとの考えから6ヶ月と長い教育期間を設けています。
 
最初に介護技術の「レベル判定」を行い、新人教育スケジュール表を作成します。その後はスケジュールに従い、指導を進めていきます。
新人教育プログラムは大きくステップ1~5に分かれています。
ステップ毎の大きな目標は、
ステップ1(1週間)は「施設・利用者に慣れる」
ステップ2(2週間)は「基本業務の習得」。
ステップ3(5週間)は「移乗介助・トイレ介助の習得」
ステップ4(3ヶ月間)は「変則勤務の習得」
ステップ5(1ヶ月間)は「夜勤の習得」
となっています。

新人教育期間が終わっても、新人職員にはまだまだ知らないことや覚えないければならないことが沢山あります。そこで1年間は一人の先輩職員がパートナーシップを組み、フォローを行っていきます。

指導者チーム

1人の指導者が新人教育期間の最初から最後まで指導するのが理想ではありますが、指導者にも勤務があるので現実的には不可能です。
そこで指導者チーム(チームリーダー1名+指導者3名 計4名)を編成し、指導を行っていきます。
チーム制にすることで新人指導の幅を広げると共に、新人指導の負担の軽減を図りました。また少人数のチーム制にすることで、指導内容の統一化、共有を図りやすくしました。チームリーダーは事前にチーム内での指導方法や利用者別の指導内容を統一し、円滑に指導できるように準備しておきます。
利用者別の指導内容は移乗介助・トイレ介助・その他注意すべき点がまとめられており、指導者が変わっても同じ内容で指導できるようにしています。
 
指導者チームを編成する時に注意すべき点としては、指導者と新人職員との相性があります。コーチングの研修を受けるとラポール(信頼関係)が重要であると繰り返し、習います。信頼関係が構築されないと新人指導はうまく行きません。
新人教育プログラムを立ち上げた最初の指導で、相性を考慮せず、チーム編成を行った為に手痛い失敗をしてしまいました。

進捗状況ファイル

新人職員1人につき、1冊の進捗状況ファイルを作ります。
進捗状況ファイルの中には
  ①介護技術レベル判定表
  ②新人教育スケジュール表
  ③できる/できないチェックシート
  ④進捗状況表
  ⑤業務日誌
がまとめられており、進捗状況管理とスケジュール管理を行います。チームリーダーは進捗状況を見ながら、次のステップに進む判断を行っていきます。

できる/できないチェックシート

「できる/できないチェックシート」は介護プロフェッショナルキャリア段位制度(アセッサー)の評価ツールの「評価表」を当施設用にアレンジしたものです。
新人職員への指導を行う上で、指導者は多くの判定、判断を行います。その際、誰が見ても同じ判断ができる基準であり、新人教育プログラムの中でも重要なものの一つです。

業務日誌

毎日、その日の最後に指導者と新人職員で話し合い、1日を振り返り、その日の反省と翌日の目標を業務日誌に書き出します。
同時に不安や困っていること等を聴き取り、メンタル面へのサポートも行っていきます。指導者だけでは対応できない相談は介護主任・副主任で対応していきます。
また業務日誌は指導者間の情報共有ツールとしての機能も持っており、指導者は前日の指導内容や反省・目標を確認し、その日の指導に反映させていきます。
ただ業務日誌による情報共有だけは補えない面もあり、業務日誌と併用してLineも情報共有ツールとして活用しています。指導者以外の職員もLineグループに入れておけば、新人職員が「何」を「どこまで」できるのかを把握することができるので便利です。

進捗管理表

進捗管理表はチームリーダーがスケジュールを管理する為に使用します。
新人教育期間は6ヶ月と長期に渡る為、チームリーダーは指導だけではなく、チーム全体を管理する必要があり、特に進捗管理とスケジュール調整は重要となります。
進捗管理表には、チームリーダーが各ステップで行うべき、チーム内での指導内容の調整、各委員会や他部署が関係する研修の日程調整、必要な資料の準備、進捗状況報告等のやることを一覧表にしてまとめています。
進捗管理表を用いることで新人教育スケジュールの全体が俯瞰でき、チームリーダーがするべきことが見えるようになりました。

最後に

山本五十六の言葉をご紹介したいと思います。
 
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かず
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず
 
この言葉には「人を育てる」為のすべてが詰まっていると思います。

お問い合わせ

社会福祉法人愛隣会 新人教育プロジェクト  担当:寺門まで
 
〒709-3111 岡山県岡山市北区建部町福渡1005-1
TEL:086-722-2511 FAX:086-722-2512
 
お気軽にご連絡下さい。
社会福祉法人愛隣会
〒709-3111
岡山県岡山市北区建部町福渡1005-1
TEL.086-722-2511
FAX.086-722-2512
E-mail airin-56@po9.oninet.ne.jp

【事業所番号】
特別養護老人ホーム旭水荘
3372100101
ほのぼの荘居宅介護支援事業所
3372100432
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